2012/06/13

20年履ける靴に育てる


自由大学 コラムに掲載していただきました☆

「ありがとう。この靴を履いてもっと遠くへお出掛けしたいな」 。
この一言は生徒さんがお母さんの靴を講義で磨き、お渡しした時 頂いた言葉です。 母の日を迎える5月となり、ふと思い出しました。

普段言えないありがとうの気持ちを伝えるきっかけになってくれた靴磨きというアクション。靴を磨くということはやはり身嗜みや趣味の傾向が強いfor me の表現方法です。

For you 他がために靴を磨き、ありがとうを伝える。
これが、この講義の卒業試験です。
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磨かれた靴は、過去と未来を結んでくれます。 その靴を手に入れた時の想い、履く度に汚れて行く靴は、何も言わずに現在の自分を守ってくれています。 靴を手入れし、綺麗にすることにより、明日を歩く私たちを助けてくれます。
20年後の自分を想像してみてください。 正直、今の自分には20年後どこの道を歩いているのかは解りませんが、変わらず靴は足元を支えてくれているはずです。どんな革靴であれ、磨く程の靴で無いということはありません。人の肌と同じように、乾燥し、汚れ、年をとっていくもの。
ここで、軽く靴の磨き方に触れたいと思います。 靴磨きは、女性のお化粧に例えます。 毎日化粧を落とさず、ファンデーションを塗り重ねる人はいないと思います。男性でも、顔を洗わない人はいませんね。
靴磨きはまず、しっかり汚れを落とします。これは靴の表面だけでなく、内側の埃もしっかりと拭き取ります。汚れ落としクリームを使い、酸化した古いクリームも拭き取ります。
つるっとスッピンにした靴に、クリームで適度な油分と水分を与え、色も捕食。 革のコンディションを整えてあげます。最近の靴クリームにはシアバターが配合されているものもあり、本当にスキンケアと似ています。講義ではブラシや布でクリームを塗布するのでは無く、指先でクリームを温めながら塗りこんでいきます。

ブラッシングでより皮の中へ浸透させてあげることと革をマッサージしてあげること、靴はふっくらとして、履き心地が変わることを感じます。 柔らかい布で乾拭きしてあげれば、中はしっとり、表面はサラサラ、適度に光沢が生まれ、潤いを感じる靴に生まれ変わります。

基本のケアはこれで終わり。これだけでも綺麗になりますし、20年履ける靴に育てるにはここがマストになります。
しかし、ここからはがメイクアップ! 靴を輝かせ、より立体感を生み、靴を芸術作品までに高めることも出来る技 。これが鏡面磨きです。鏡面磨きには、ワックスという缶に入ったものと、少量の水、出来るだけソフトな布コットンネルを使います。基本はつま先とかかとのシワが入らない部分を中心に光らせます。 少しずつ、蝋の膜を重ねることにより、だんだん靴は輝き、防水性や傷から守るスタミナを手に入れます。 水の分量、ワックスをつけるタイミングこれは指先の感覚が頼り。靴それぞれによっても微妙に違うので、なかなか独学でうまくいかないこともあります。
しかも、ただ光らせれば良い訳でもない。 ピカピカな部分としっとり光る部分との光のグラデーション 。歩く度に光の筋が通るように磨くような今まで考えもしなかった変化を与えること。自由自在に靴に表情を与えることができます。
ここまでやったら靴はもちろん喜びますよね。履く人だって、姿勢や歩き方にも変化が現れます。
物を大切にすることは全てに通じること。先ずは自分の靴を手入れしてあげてください。ブラッシングだけでも構いません。 自分の靴にお疲れ様と声をかけてあげてください。そして、大切な人の靴も磨いてあげてください。

綺麗になった靴は この先どんな遠い場所にだって連れて行ってくれます。 そして、素敵な場所へと導いてくれるはずですよ。自由自在に今を生きるためのその足元を 見つめ直してみる良い機会にあれば良いなと思います。
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